オードリーの「帰ってきた天沼パトロール

 

1.突然の電話

ブルブルブル…。
ケータイのバイブが震えた。
「誰だろう?」
サギ師はベッドから、半分体を起こした。
巨大なアフロヘアは寝ぐせで、半分がペチャンコになっている。
ー私だ。
「私って?」
壁の時計は1時を回っている。もちろん夜中だ。
ー私だよ。伝説の音楽プロデューサー・Mr.Tだ。
「……? お前っ!」
サギ師はベッドから飛び起きた。
ーキミに会いたいんだ。
「今さら何を言う! お前が、オールナイトニッポンに出れば絶対に売れるって言うから…」
ーまぁ、まぁ、待て。みなまで言うな。
時代がかった男である。
ーそのお詫びの意味も込めて、会いたいんだ。
サギ師は一瞬考えて、答えた。
「じゃあ、みんなを集めて…」
ーいや。みんなには内緒だ。キミと二人だけで会いたい。
「二人だけ?」
ーああ。いますぐ…来れるかな?
「こんな夜中に?」
ー夜中だって…いいじゃないか…いやむしろ…夜中だから、会いたいんだ……。
なぜか、電話の向こうの声が乱れている。息遣いが荒い。
ー会いたい…ハァ、ハァ……いいだろ?
「……? わかりました」
不審に思いながらも、サギ師は出かけるしたくを始めた…。
×  ×  ×
数日後の、やはり深夜。
ケータイのバイブが震えた。
「はい。どなたです?」
トイレの個室の中。便座を囲み、体全体を巨大な「?マーク」みたいにして寝ていた底辺は、
寝ぼけながら電話に出た。
ー私だ。キミと二人だけで会いたい…。
「は?」
ー会いたいんだ。すぐに来てほしい。ハァ、ハァ、ハァ………。
「…は、はあ」

メンバーに次々とかかってくる謎の電話。
はたしてその展開は!?

(続く)


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