オードリーの「帰ってきた天沼パトロール

 
9.寸前

有楽町・ニッポン放送。
7階にある控室で、「箱根コナキンズ」の面々は緊張していた。
相馬たかし・子泣きジジイ・サギ師・底辺…のメンバーは、放送局に足を踏み入れるのさえ、人生初だった。
その上、これから全国ネットのオールナイトニッポンにゲスト出演するのだ。
緊張のあまり、さっきから、相馬たかしはカタカタと貧乏揺すりをし、
子泣きジジイは喉がカラカラに渇いて水ばかり飲み、
底辺はトイレに何度も行き、
サギ師はといえば、そのすべてをやっていた。
「み、みんな…」
と相馬たかしは言った。
「我々はミュージシャンだ。音楽をやれば、落ちつくんじゃないかな?」
「なるほど!」
「そりゃいいな」
「そうしよう!」
四人はリハーサルを兼ねて、デビュー曲《So much take a shit》を歌い始めた。
♪俺たちの、は〜こね はこねにやってきた〜♪
…と、隣の部屋から、
「うるさいっ!」
と怒鳴り声が聞こえた。
「……すみませ〜ん」
四人はしゅんとなり、余計に緊張感が高まった上に、萎縮してしまった。
サイアクである。

実は今日の放送で、彼らが発表する予定のものが、二つあった。
一つは新曲。
そしてもう一つは……
コンコン!
その時、ドアがノックされた。
「ハ、ハイ!」
緊張のあまり、全員が立ち上がる。
「間もなく、本番です」
「よ、よろしくお願いしまっす!」
四人は、ほとんど体を二つ折りにするようにお辞儀をした。
あまりにアガッていたので、その相手がアルバイトの学生だったことに気づかなかった。
                              *
はたして、箱根コナキンズの、もう一つの発表とは何か?
オードリーのオールナイトニッポンは、間もなく始まる…。


(番組に続く)

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箱根コナキンズ物語